国際シンポジウム「自由貿易が食料・環境危機を招く!」

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 「国際民衆連帯DAYS・連帯フォーラム」3日目を迎えた7月6日、G8サミットを問う連絡会の賛同団体「脱WTO/FTA草の根キャンペーン実行委員会」は、札幌エルプラザにおいて、国際シンポジウム「自由貿易が食料・環境危機を招く!」を開催した。

 シンポジウムを開催する目的について、コーディネーターを務めた実行委員の市村忠文氏(フォーラム平和・人権・環境)は、「明日から始まる洞爺湖サミットで話し合われる課題の中には食糧問題もありますが、環境問題や食糧問題というのは人為的に作り出された問題だと考えます。人為的に引き起こされた問題であるならば、我々の運動の力で解決できるのではないでしょうか?問題解決に向けて、私たちはどうすればよいのかを、シンポジウムを通して皆さんと一緒に考えたいと思います」と説明した。

 基調提起を行った山浦康明氏(日本消費者連盟副代表運営委員)は、「穀物価格の高騰は、人類の生命を脅かす深刻な問題となっており、特に弱者にしわ寄せがもたらされています。この原因には、サブプライムローン問題をきっかけとする投機マネーの穀物市場への流入や、バイオ燃料ブームによる食用穀物の減産など様々な理由が挙げられます。こうした問題への対応策として、各国は『食料主権』を尊重しなければなりません。日本国内においては、環境に配慮した有機農業の振興、地産地消の展開、家族農業の保護を通じた食料自立を目指すことが重要です」と訴えた。

 基調提起に続いて、国内外の農業関係者により報告や問題提起が行われた。

 東北タイの農民であるカティン・カーサ氏(タイ貧民連合)は、「タイ政府は、世界の台所を目指すという目標を持っています。しかし食料価格の高騰に伴い、世界中に輸出するだけの大量のコメを持っていても、タイの人々、特に貧しい人は高騰した国内向けのコメを買うために列に並ばざるを得ない状況に追い込まれました。新自由主義が本当に是とされるものであれば、輸出用のコメを作っているタイの農民は多くの収入を得ているはずですし、タイの消費者も良質の食糧を安価な価格で手に入れることができるはずですが、実際にはそのような状況になっていません。各国は、国内消費のための食料生産を優先的に進めるべきで、世界市場に依存した食料生産は、もっと減らしていくべきです。そして世界の食料分配は、『フェアトレード』(公正取引あるいは公平貿易)に基づいて行われるべきです」と訴えた。

 オーストラリアから来たアダム・ウォルフェンデン氏(公正な貿易と投資のためのオーストラリア・ネットワーク)は、資源貿易に長く依存してきたオーストラリアにおいて、産業としての農業は国内消費を基盤にしておらず、全生産量の3分の2が輸出向けであることなど、オーストラリアの農業事情を説明した後、「オーストラリアは、小規模農業から大規模農業への転換を目の当たりにしています。巨大な農業ビジネスは、農業生産物の輸出に投資し、供給量へのアクセスを利用して、小規模農業を追放しようとしています。より自由な貿易、市場メカニズムを食料市場に導入しようというイデオロギーの下に動いているのです」と自国農業への懸念を示すとともに、「新自由主義的な市場を最高のものとみなすことへの問題提起を行うために、私たちはここに集まっているのです」と訴えた。

 インドから来たスジョバン・ダール氏(第3世界債務帳消し委員会)は、インドの農業事情について、「インドは、ネオリベラルな経済主義を擁護している国、IT技術に強い国などとよく言われます。しかし、国民の60%は農業に従事しています。インド農業は、現在危機的な状況にあります。過去10年間に農業従事者の自殺が15万人に達しているのです。その原因には様々な要因が挙げられますが、一つには1990年代から加速した経済成長により、これまでの国内消費を目的とした食料生産が、輸出のための商品作物の生産へと転換を強いられたことが挙げられます。当初順調に進むかと見られた転換ですが、その後の経済事情の変化により穀物の輸出価格が暴落して、農村は窮状に追い込まれてしまいました。農業に従事できなくなった人々は、都市部へと流入していきましたが、日雇い労働など不安定、低賃金の仕事に就かざるを得ない、人間らしい扱いを受けない状況に追い込まれており、インド社会に大きな影響をもたらしています」と報告した。

 中国・香港から来たアウ・ロンユー氏(グローバリゼーション・モニター研究員)は、中国における食糧価格が上昇する一方、食糧自給率は低下傾向にあるなど、中国農業の懸念事項を報告した。

 北海道で農業を営む白川祥二氏(北海道農民連盟書記長)は、北海道農業の現状について、「大規模農業と言われる北海道においても、効率一辺倒、市場主義の農政、低価格政策の展開などにより、農家戸数や耕地面積の減少が続いており、後継者など担い手確保や所得確保対策は大きな課題になっています」と報告した。
 さらに白川氏は、日本政府が進めようとしているWTO農業交渉や日豪FTA交渉について、「食料自給率が39%と極めて低い日本において、これ以上の農畜産物の輸入増大は、わが国の『食料主権』を根底から揺るがすことになりかねません。また、農畜産物の関税削減・撤廃によって、わが国の農業は壊滅的な打撃を被るでしょう。特に北海道では、農業が基幹産業になっており、農村が地域社会の中心をなしています。農業の衰退は、地域の経済や雇用に大きなダメージを与え、地域社会の崩壊を招いてしまいます」と交渉の先行きに懸念を示すとともに、「これからの貿易交渉は、地球規模での食料の増産と飢餓の撲滅、食料主権の確保、地球環境の保全といった観点に基づき、世界各国の多様な農業の共存が図れるように進めていかなければなりません」と訴えた。(Masayoshi Sakamoto)

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from 開発と権利のための行動センター on Mon, 2008/07/07 - 16:00

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